短編小説

短編小説 「豊かさの再発見」

6話 豊かさの再発見

自給自足生活を紹介するテレビ番組が増え、

視聴者がそれに強く共感するのは、

単に“田舎暮らしが流行っている”からではない。

人々は気づき始めている。

便利さは豊かさではない。

効率は幸せではない。

大量生産は安心ではない。

昭和から平成へ、そして令和へ。

日本はずっと「もっと便利に」「もっと速く」「もっと安く」を追い求めてきた。

その結果、私たちはプラスチックごみに囲まれ、

環境を汚し、

その清掃や処理のために新たな労働を生み出し、

それを“富の再分配”と呼んで自分を納得させてきた。

だが、心のどこかで分かっていた。

これは本当の豊かさではない。

🌾 辺境の民のコンプレックスが消えていく

「辺境の民として、自信が持てなかった」という感覚は、

戦後日本の深層にずっと流れていたものです。

•    欧米の生活が“先進的”

•   都市の暮らしが“正解”

• 田舎の知恵は“古い”

• 自給自足は“貧しい”

そんな価値観が長く続いてきた。

だからこそ、

先人の知恵を生かす時代が来た

という言葉は、とても象徴的です。

今、人々は気づき始めている。

•  土で育てた野菜の味

•   手で作った道具の温かさ

•   自分で作った食事の満足感

•  自然と共に生きるリズム

•    使い捨てではない暮らしの安心感

これらは、どれも“古い”のではなく、

人間が本来持っていた豊かさだった。

♻️ プラスチックごみの山が教えてくれたこと

大量生産・大量消費の社会は、

便利さの裏で膨大なプラスチックごみを生み出した。

•  海に漂うマイクロプラスチック

• 焼却によるCO₂

• 土壌汚染

•   生態系の破壊

そして、その処理のために新たな労働が生まれ、

それが“雇用”として評価されるという矛盾。

汚す → 片付ける → 雇用が生まれる → 経済が回る

この循環は、

人間の都合だけで作られた“偽りの豊かさ”だった。

🌿 本当の豊かさとは何か

**「もったいない」と「生きがい」**が、

これからの社会の中心になる。

• もったいない → 資源を大切にする

• 生きがい → 人の時間と経験を大切にする

この二つは、

ロボット化やAI化が進む社会でこそ必要になる価値観です。

自給自足生活が注目されるのは、

人々が無意識にこう感じているから。

「生かされる」ではなく「生きる」ための暮らしがしたい。

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