1970〜80年代にかけて、LSIゲーム(液晶・LEDを使った携帯型電子ゲーム)は日本の玩具メーカーにとって一大ブームとなりました。ここでは、玩具メーカーのLSIゲームの歴史と、そこから浮かび上がる任天堂のゲーム&ウオッチとの差別化戦略をわかりやすく整理してみます👇
🧸 玩具メーカーによるLSIゲームの歴史
- バンダイ・エポック・トミーなどの参入
- バンダイは「電子ゲーム」シリーズでアニメキャラとのタイアップを展開(例:ガンダム、ウルトラマン)。
- エポック社は「エポックマン」など、独自の筐体デザインで差別化。 トミー(現タカラトミー)は「トミー電子ゲーム」シリーズで、腕時計型や多画面型などを開発。
- 特徴的な戦略
- キャラクター重視:人気アニメや特撮ヒーローの知名度を活用。
- 多様な筐体デザイン:腕時計型、三面スクリーン、太陽電池など、見た目のインパクトで勝負。
- 低価格・大量生産:数千円程度で買える手軽さが子どもたちに人気。
- ブームの終焉
- 1983年のファミコン登場により、ゲームの質と表現力が一気に進化。
- LSIゲームは「単純すぎる」とされ、徐々に市場から姿を消す。
- 🎮 任天堂の差別化戦略
- 任天堂は、同じLSI技術を使いながらも、まったく異なるアプローチで市場を切り拓きました。
- 「ゲーム&ウオッチ」の誕生
- 横井軍平の発想:「暇つぶしのための携帯型ゲーム+時計機能」という実用性を加えた設計。
- シンプルながら洗練されたゲーム性:1画面1ゲームに特化し、操作性と完成度を重視。
- 任天堂の戦略的展開
- IPの育成と拡張:「マリオ」「ゼルダ」など、独自キャラクターを軸に展開。
- ゲーム専用機ビジネスへの布石:「ゲーム&ウオッチ」の成功がファミコン開発の資金源に。
- 世界市場への展開:北米市場では「エンターテインメントシステム」として再定義し、文化的適応を図った。
- 任天堂は「玩具」ではなく「娯楽機器」としての価値を追求し、ゲームの本質的な面白さと実用性の融合で他社と一線を画しました。玩具メーカーが“見た目”で勝負していた時代に、任天堂は“体験”で勝負していたのです。