ベトナムの開発会社(特にIT・ソフトウェア開発企業)を中心に、現状・課題・日本との
関係を整理してみましょう。制度・人材・国際連携の観点も交えてご紹介します。
◎ベトナム開発会社の現状
成長の背景
- ドイモイ政策(1986年〜)により市場経済化が進み、外国直接投資(FDI)が急増。
- 若年人口の多さ(平均年齢約30歳)と理数系教育の強化により、IT人材が豊富。
- 製造業からIT・サービス業への転換が進み、オフショア開発拠点として注目。
主な分野
1)ソフトウェア開発(業務系・Web系)
2)モバイルアプリ開発
3)AI・IoT・ブロックチェーンなど先端技術 - 4)BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)
️ 主な課題
1) 人材の質と定着率
技術力は向上中だが上流工程や日本語対応に課題、離職率高め、
2) プロジェクト管理
日本式の品質管理や納期遵守に慣れていない、
3) 法制度、契約文化
知的財産保護や契約履行に関する法制度が発展途上、
4) インフラ
電力供給や通信インフラの地域差があり安定性に課題、
5) 賃金上昇
近年は人件費が上昇傾向、コストの優位性が縮小、、
◎日本との関係性
経済連携と進出状況
日越経済連携協定(EPA)により、投資・サービスの自由化が進展。
日本企業の進出数:約1,990社(2023年時点)【出典: BIGBEAT Vietnam】
トヨタ、ホンダ、キヤノン、パナソニックなどが製造業だけでなくIT分野でも現地
活用。
◎オフショア開発の活用
日本企業が「チャイナプラスワン」戦略の一環としてベトナムを選択。
東京や大阪のIT企業が、ハノイ・ホーチミンに開発拠点を設置。
日本語対応可能なエンジニアの育成が進み、ブリッジSE(通訳兼技術者)の
需要が高い。
◎文化的・制度的な接点
ベトナムは親日国であり、日本企業への信頼感が高い。
技術移転や人材育成において、JICAやJETROが支援を展開。
日本の品質管理や「報連相」文化が浸透しつつあるが、まだギャップも残る。
◎制度・構造・象徴性
ベトナムの開発会社は、日本の戦後高度成長期の中小企業群と似た構造を
持ちつつ、グローバル資本と接続されている。
「技能実習制度」や「特定技能制度」による人材交流は、制度的な越境労働の
象徴とも言えます。
日本企業がベトナムに求めるのは「安価な労働力」から「共創パートナー」へ
の転換であり、これは開発会社のアイデンティティ変容にもつながっています
。
� 地域別エンジニア分布(会社数の目安)
※総エンジニア数:約55万人(2025年推定)
※会社数の正確な統計は未公開ですが、エンジニア比率から都市別の開発会社数の規模感
を推定できます。
◎主な企業分布(代表例)
ホーチミン市 約45% 最大のIT集積地。外資系・スタートアップが集中。
ハノイ 約35% 政府系・大手企業が多く、教育機関も充実。
ダナン・その他 約20% 新興都市。観光地でもあり、BPOやラボ型開発が増加中。
◎主な企業分布(代表例
ホーチミン市FPT Software, KMS Technology, NashTech, TMA Solutions
ハノイ Rikkeisoft, Savvycom, SotaTek, GMO-Z.com RUNSYSTEM
ダナン BAP, FPT Da Nang, Enlab Software
◎構造的視点
この分布は、ベトナムの都市構造と経済政策の反映でもあります:
- ホーチミン=民間主導・外資誘致型
- ハノイ=官民連携・教育重視型
- ダナン=地方創生・観光融合型
日本企業が進出する際、都市選定は「コスト」「人材」「文化的親和性」によって分かれ
ます。たとえば、ハノイは日本語教育が進んでおり、ブリッジSEの育成に適しています。
️ ベトナム主要都市別ソフトウェア開発会社数(推定)
ホーチミン市 約2,500社 最大のIT集積地。外資系・スタートアップが多数。
ハノイ 約1,800社 日本向けオフショア開発に強み。教育機関が充実。
ダナン 約600社 新興IT都市。ラボ型開発やBPOが増加中。 - ベトナム全体のIT企業数は約5,000〜6,000社とされ、うち約80%以上がソフトウェア開発
・ITサービス関連。 - ホーチミンは外資誘致が進み、グローバル展開企業やスタートアップが集中。
- ハノイは政府系プロジェクトや日本企業との連携が多く、ブリッジSE育成にも注力。
- ダナンは地方創生と観光都市の融合により、IT企業誘致が進行中。
……………………………………………………………………………………………………. - 会社概要 | Kaopiz - ベトナムのオフショア開発企業
株式会社カオピーズ(ベトナム本社Kaopiz Holdings Joint Stock Companyの日
本子会社)は、東京都豊島区南池袋にあるベトナムのオフショア開発会社で、略称は
カオピーズ(KAOPIZ)である。
2016年8月8日に代表取締役 チン・コン・フアン(TRINH CONG HUAN)により創業さ
れ、現在2025年9月まで従業員数が 652名(グループ全体)。
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